研究開発
新製品/技術開発情報
新商品
開発背景
オテックの独自技術「テフ・ロック」は、硬質クロムめっきの高硬度、耐摩耗性といった機械的特性と4フッ化樹脂の持つ非粘着性と優れた離型性を兼ね備えた高機能めっきとして幅広い分野のお客様にご採用いただいております。
しかし、テフ・ロックが使用されている生産現場ではラインの高スピード化や使用する原材料の広がりにより、生産設備や部品に、更なる耐久性や耐熱性が求められています。そこで、テフ・ロックの製造工程を大幅に見直し、テフ・ロックよりもさらに高い機能性を有する「テフ・ロックα」を実用化しました。

自己潤滑性クロムめっき「テフ・ロック」を提供

生産現場(お客様)

テフ・ロックへの要望

テフ・ロックの製造工程の見直し

新商品「テフ・ロックα」の開発

テフ・ロックαの特徴
開発背景

高温環境下での樹脂分解が起こらず300°Cでの
連続使用が可能です。

(テフ・ロックの推奨限界温度:250°C)

加熱時の樹脂成分の重量減
耐久性

高温環境下(300℃)の摩擦・摺動であっても低摩擦を維持し、良好な滑りと耐摩耗性を発揮します。

摩擦環境300°Cにおける各種表面処理の動摩擦係数の変化
(温度:300°C、摺動材:アルミナ球)
300℃での摩擦試験後のめっき面の摩耗痕の比較
「テフ・ロックα」表面の痕跡はわずかです。


硬度
めっきベースはクロムめっきですので、表面硬さはHv800~850程度と高いため、傷がつきにくく、優れた耐摩耗性を発揮します。また、表面はめっき層であるため、導電性があり表面帯電もいたしません。
安全性
2020年7月4日よりREACH規制において、PFOA関連物質の含有濃度25ppbと厳しくなりました。テフ・ロックαからのPFOA発生はほとんどなく、REACH規制に対応した複合表面処理を提供できます。
※ユーロフィン・フードアンドプロダクト・テスティング株式会社で「テフ・ロックα」からのPFOA検出試験を実施したところ、検出限界5ppb以下であることを確認しています。

適用例

包装・物流機械部品(ヒートシーラー、ホットプレートなど)、プラスチック・ゴム成型部品(金型、ダイ、スクリューなど)、食品・医療関連部品(ホッパー、金型など)、その他(軸受け、ロッドなど)
従来のフッ素コーティング処理でお困りの方、離型性皮膜に耐熱性や耐久性をお求めの方は、是非とも弊社技術開発部にご相談下さい。
クラックフリー鏡面ロール製品開発中
開発背景
液晶や有機EL等に使用される光学用フィルムの高機能化に伴い、生産に使用する鏡面ロール表面へのニーズは高度化しています。そのような中、複数のお客様からクロムめっき表面の微細なクラックを排除できないかとのご依頼を受けました。そこで、鏡面研磨加工が可能な硬質クロムめっきとクラックフリーの表面処理「クロアモール」の二層構造にすることで、クラックフリーな鏡面ロールの製品化を目指しています。

製造現場(お客様)

従来の硬質クロムめっきの鏡面ロールの問題点

2層構造を検討

テフ・ロックの製造工程の見直し

新商品「クラックフリー鏡面ロール」開発中

クラックフリー鏡面ロールの特徴
鏡面転写・離型性
ロール表面はクラックフリーであるため、フィルム等の成形品へ微細クラック などの転写はありません。樹脂成形段階でのフィルム搬送はスムーズで、低摩擦係数を有したクロアモール表面により離型性も優れています。
クラックフリー鏡面の表面形態と断面
レーザー顕微鏡像


クラックフリー鏡面の断面構造
耐食性
表面にはクラックやピット・ピンホールがなく、高い耐食性を発揮します。
キャス耐食性試験48時間後の鏡面ロールの腐食状況
硬度
表面硬度はHv1200~1500で、従来の硬質クロムめっきの1.5倍と高く、耐擦傷性や優れた耐摩耗性を発揮します。
摩擦摩耗測定後の各表面処理の摩耗量(摺動材:SUJ2)

適用例

キャスティングロール、ポリッシングロール、延伸ロール、圧延ロール

現在、製品化に向けて試作を進めております。キャスティング成型におけるめっきのクラック転写でお困りの方、ぜひご相談下さい。
ハイブリッドクロムめっき開発中
開発背景
クロムめっきは高耐食性を有しためっき皮膜と呼ばれていますが、めっきの成長過程で必ず微細な割れ(クラック)が形成され、そこに腐食因子が入り込むと一気に腐食が進行するという側面を持っています。 そこで、クラックをガラス系の無機物でふさぎ、耐食性に優れためっき皮膜の開発を進めています。

製造現場(お客様)

従来の硬質クロムめっきの鏡面ロールの問題点

2層構造を検討

ハイブリッドクロムめっきの特徴
ハイブリッド膜の構造
クロムめっきのクラックにガラス系無機物を含浸させハイブリッド化(複合化)した皮膜です。クロムめっき皮膜の弱点を無機物が補うことで機能性が大幅に向上します。
ハイブリッドクロムめっきの模式図
表面のケイ素分布
深さ方向のケイ素プロファイル
耐食性
ハイブリッド化することで耐食性の大幅な向上が実現できました。
(キャス試験20日で赤錆発生なし)
クロムめっきの腐食メカニズム
クロムめっきのクラックは研磨加工しても完全に潰すことができず、腐食因子がクラック内部に侵入すると局部電池を形成して鉄素地が溶解して赤錆が発生します。
ハイブリッド化によりクロムめっきの腐食を劇的に抑制
キャス耐食性試験(JIS H 8502-1999)試験片:鉄板上のめっき皮膜
CASS試験時間/h 1 2 4 8 24 48 96 240 480
Crめっき35μm 赤錆              
Niめっき35μm 赤錆        
Ni40μm/Cr50μm 変色 めっき
膨れ
 
ハイブリッド
クロムめっき50μm
ロール形状でのキャス試験の結果(キャス試験16日後の外観)
キャス試験において、高耐食性めっきとして知られるNi/Crより優れた耐食性を示します。
表面機能性
耐摩耗性や濡れ性等を兼ね備えた高機能表面処理も作製可能です。
耐摩耗性試験




各種表面処理における水の接触角
  硬質クロムめっき ハイブリッドクロムめっき
接触角 76° 110°

適用例

耐食性が要求される工業用部品(シリンダー、シャフト、ロールなど)、海洋雰囲気やオゾン雰囲気など腐食性が高い環境で使用される機械部品、離型性や耐食性が要求される部品など
現在ハイブリッド化技術の試作応用を進めています。耐食性・離型性・潤滑性など新しい表面機能についてお声をお聞かせ下さい。
クロ・ファイン製品開発中
開発背景
クロ・ファインは、弊社でハイブリッドクロムのベースめっきとして開発を進めたもので、通常の硬質クロムめっき皮膜より、めっき後の光沢性に優れ、クラックは微細で数が多く、幅が狭く、深さ方向に短いといった特徴を有します。また、めっきの硬さはHv950~1000で、熱が加わった状況での硬度低下も小さいです。
クロ・ファインの特徴
  • めっき上がりの光沢性に優れています。
  • 表面のクラック数は、従来の硬質クロムめっきの5~10倍の密度で微小です。
  • めっき層は緻密で硬さはHv950~1000で、従来の硬質クロムめっきより安定した硬さがあります。
  • 硬質クロムめっきとクロ・ファインを組み合わせた多層めっきが可能です。
  • クロ・ファインのマイクロクラックを活かしたハイブリッドクロムめっき仕上げが可能です。
マイクロクラック
めっき上がりの「クロ・ファイン」の表面はなめらかで光沢性に優れています。また、皮膜のクラックは、通常の硬質クロムめっきに比べてクラック数が5~10倍と多く、微細な形態になっています。
めっきの破壊形態
硬質クロムめっきは大きな負荷がかかるとめっき皮膜が破壊されます。一方、クロ・ファインは微細で緻密なマイクロクラックを有するため、破壊形態は微細で素材の変形に追従する特性があります。
砥石切断による断面形態(めっき欠けが小さい)

破断による断面形態(微細な割れ)

ロックウェル試験150kgfの圧痕(微細な割れによる変形性)
加熱による影響
クロ・ファインのクラックは微細なものであるため、熱が加わった場合のクラック幅の広がりは、通常の硬質クロムめっきより小さく、膜が緻密であるため、熱による硬さ低下の割合も小さい特長があります。
加熱によるクラック幅変化
クラック幅の拡大が小さい



加熱後の硬さの荷重依存
大荷重でも硬さを維持

適用例

めっき上がりで光沢性、平滑性が要求される小物部品、海洋雰囲気やオゾン雰囲気など腐食性が高い環境で使用される機械部品(多層めっき)など
弊社では、クロ・ファインの試作開発を進めています。薄膜状態のめっきままでの光沢や耐食性などへの多層めっきなど、本めっきの適用可能性の声をお聞かせください。
共同開発について
社内での研究や公設研究機関や大学との産学協同プロジェクトの実施等により、新たな技術や新製品開発にチャレンジしています。社内の研究室には、めっきの表面の高機能化や、高い付加価値の表面処理を生み出すための各種実験装置や測定・評価機器を備えています。

弊社では多くの企業様との共同技術開発を行なっています。ロール製作やめっきに関するご希望がございましたら何なりとお申し付け下さい。長年に渡って蓄積したノウハウを活かしての有効な提案や、共同での技術開発を進めさせていただきます。
研究開発実績
H30年~R2年
平成30年度中小企業経営支援等対策費補助金(戦略的基盤技術高度化支援事業)
「小規模ごみ焼却発電技術を普及させる蒸気ロータリー発電エンジンの研究開発」
(村上精機株式会社、大阪府立大学と共同研究)
小規模ごみ焼却施設に導入可能な蒸気ロータリー発電エンジンの研究開発を共同で実施しており、当社は蒸気ロータリー発電エンジンハウジングに適合したクロムめっき膜の開発を担当しております。
H30年
平成29年度補正ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助事業
「アモルファスクラックフリーダブルクロムめっきの試作開発」
“クロアモール”が抱えていた薄膜しかできないという技術課題を、硬質クロムめっき上に“クロアモール”を施し、多層化することにより解決し、従来の硬質クロムめっきを遙かに超えた機能性を有する新製品“クロアモールW(仮称)”の開発を実施しました。
平成29年度 コンソーシアム研究助成金
「超鏡面ハイブリッド型硬質クロムめっきロールの開発」
((地独)大阪産業技術研究所に一部委託)
鏡面ロールのクロムめっきのクラックに無機材料を浸潤・硬化させることによって、金属クロム-無機ハイブリッド膜を形成させ、離型性・転写性・耐食性に優れた超鏡面めっきロールの開発を実施しました。
H27年
平成26年度 補正ものづくり・商業・サービス革新補助金
「フッ素樹脂含浸クロムめっきの試作開発」
(大阪府立産業技術総合研究所に一部委託)
高硬度で耐摩耗性を有した硬質クロムめっきに種々のフッ素樹脂を含浸し、潤滑性・型離れ性・耐久性に優れた機能性皮膜開発を実施しました。
H26年
平成25年度 中小企業・小規模事業者ものづくり・商業・サービス革新事業に係る補助金
「クロムめっきロールの超鏡面研磨技術高度化」
液晶テレビやスマートフォンなどに使用される光学用プラスチックフィルム製造用の超鏡面ロールの表面研磨技術を高度化し、より高性能な鏡面ロールを作ることを目的として研究開発を実施しました。
H25年
平成24年度 ものづくり中小企業・小規模事業者試作開発等支援補助金
「潤滑性・離型性・耐摩耗性に優れた硬質3価クロムめっきの試作開発」
(大阪府立産業技術総合研究所に一部委託)
硬質3価クロムめっき皮膜に微粒子を複合化させることで、通常のクロムめっきよりも優れた潤滑性、離型性、耐摩耗性といった性質を付与することができると考えられます。この方法により硬質3価クロムめっきをさらに機能化することを目指して研究を実施しました。
H21年
平成21年度 ものづくり中小企業製品開発等支援補助金事業
「硬質3価クロムめっきの試作開発」
(東京都市大学及び大阪府立産業技術総合研究所に一部委託)
3価クロム浴からの工業用クロムめっき(硬質3価クロムめっき)の実用化に向けてめっき液の分析方法確立、めっき皮膜の物性評価、顧客への技術情宣などを実施しました。
H19年
平成19年度 地域新生コンソーシアム研究開発事業
「環境対応型6価クロムフリー硬質クロムめっきシステムの開発」
(武蔵工業大学及び民間企業8社の共同事業)
H18年
平成18年度 地域新生コンソーシアム研究開発事業
「環境対応型6価クロムフリー硬質クロムめっきシステムの開発」
(武蔵工業大学及び民間企業8社の共同事業)
3価クロム浴からの工業用クロムめっきの実用化に関する研究を実施しました。その成果として小型ロール等へのめっき施工に成功しております。6価クロム浴からの工業用クロムめっきと比較しますと物性面でやや劣る点もありますが、産業用途での実用化が十分に可能であると考えており、今後も研究開発を継続していく予定です。
H16年
平成16年 地域新生コンソーシアム研究開発事業
「6価クロム代替P含有合金めっきの実用化研究」
(大阪府立産業技術総合研究所及び民間企業4社の共同事業)
H15年
平成15年度 地域新生コンソーシアム研究開発事業
「6価クロム代替P含有合金めっきの実用化研究」
(大阪府立産業技術総合研究所及び民間企業4社の共同事業)
6価クロムからのクロムめっきに代替するめっきとしてNi-W-P合金めっきおよび3価クロム浴からのCr-P-C合金めっきの開発とその実用化に向けた研究を実施しました。
H14年
平成14年度 大阪府中核的研究事業
「めっきプロセスの高度化」
(大阪府立産業技術総合研究所及び民間企業11社の共同事業)
H13年
平成13年度 大阪府中核的研究事業
「めっきプロセスの高度化に関する研究」
(大阪府立産業技術総合研究所及び民間企業14社の共同事業)
環境にやさしい無廃浴めっきプロセスの開発をテーマにイオン交換膜プロセスの各種めっきへの応用を図り、めっき浴の無廃浴化、スラッジ量低減、めっき浴組成の安定化、めっき皮膜の品質向上、新たな合金めっきの創製と連続めっきなどについての研究を実施しました。
学会発表/受賞歴
R2年度
第22回関西表面技術フォーラム めっき技術奨励賞
「ブラシめっき法によるクロムめっきの高速化の検討」 楠木 真一
R2年度
表面技術協会賞 森河 務
H30年度
表面技術協会論文賞
「チャンネル型微細溝を有した PVD 硬質厚膜の形成とその摩擦特性」
大阪府立産業技術研究所 小畠 淳平、三浦 健一、四宮 徳章
オテック株式会社 原野 知己、森本 泰行
H23年度
第13回関西表面技術フォーラム 研究奨励賞
「クロム酸中での各金属の溶解挙動」 北田 知己
H23年度
黄綬褒章受章 野中 康弘
H21年度
現代の名工(卓越した技能者) 野中 康弘
H15年度
第5回関西表面技術フォーラム 優秀講演賞
「クロムめっきにおけるアノード特性」 宮阪 一郎
技術者養成
オテックでは、様々な研修や講習会に社員を派遣し、めっき技術の維持と向上につとめています。特に、大阪府鍍金工業組合主催の大阪高等めっき技術訓練校には多くの社員を派遣し、現場技術の向上や研究開発にあたる人材を育成しています。下記は、これまで訓練校で取り組んだ研究テーマです。


高等めっき技術講座
S56年 機能めっき(チタン上のめっき)
S58年 クロムめっきの高速化
S61年 クロムめっきの耐食性
S62年 硬質クロムめっきの耐食性の改善
S63年 低温クロムめっき浴の耐食性
H1年 アルカリ電解による金属素地への影響について
H2年 クロムめっきに及ぼす3価クロムの影響
H3年 クロムめっき浴中の硫酸除去
H5年 工業用クロムめっきの耐薬品性について
H6年 ステンレス素材の陽極処理について
大阪めっき技術訓練校
H7年 クロムめっきにおける母材金属の影響について
H7年 クロムめっきにおける表面粗さの影響について
H8年 クロムめっきにおける陽極の配置とめっき厚さ分布について
H9年 マスキング材がめっき面に及ぼす影響
H9年 クロムめっきしたステンレス鋼の耐すきま腐食性
H10年 テフロックの用途と摩擦係数
H11年 工業用クロムめっきのピットとピンホールの現場的考察
H11年 クロムめっき液のSS(浮遊物質)とろ過
H12年 硬質クロムめっき表面の浴温と電流密度による変化
H13年 クロムめっきの膜厚と表面粗さ・光沢度との関係
H15年 クロムめっきにおけるアノード特性
H17年 スラッジ減量化の検討
H18年 クロム酸濃度と電流密度による硬質クロムめっきの硬さ変化について
H20年 溶接素材上へのクロムめっき
H20年 クロムめっき剥離における母材への影響
H21年 梨地素地がクロムめっきの密着性に及ぼす影響
H22年 加熱処理によるクロアモール皮膜の硬化特性
H23年 二重クロムめっきで現れる外観ムラの原因と対策
H23年 品物の間隔によるクロムめっきのつきまわりの検証
H25年 ジンケート処理を施したアルミニウム合金への硬質クロムめっきの密着性
H25年 硬質クロムめっきにおける2重めっきの防食効果
H25年 鏡面仕上げ法の変更による時間短縮の追求
H26年 バーティカル研磨における表面粗さの制御
H27年 陽極電解条件がSUS420J2に与えるエッチング量や表面粗さへの影響
H27年 バーチカル研磨における砥石回転とロール回転の関係
R1年 クロムめっき下地処理によるクロアモールの耐食性向上の検討